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  • 石坂 暢琢

照葉樹と暮らす先人たちの知恵(クスノキの剪定)



「クスノキ」たくさん見かけませんか?私は子供の頃,4月の落ち葉掃除の原体験も,木登りの原体験もクスノキでした。


神社の御神木から公園,住宅まで方方で見かけますが,魅力的な樹であり続けるには私たちがクスノキの特性を熟知し,上手く付き合う必要があります。手をかければどんな庭木にもない魅力を感じることができます。


今回はそんな魅力を伝えられたらと思い,4月以降に剪定させて頂いたクスノキ剪定のビフォーアフターをご紹介させていただいます。


照葉樹林の代表種がクスノキやユズリハ,ヤブツバキですが,クスノキはその中でも割と造園樹木として人気があり,海岸近くから山手の方まであちこちの公園や都市空間に植栽されています。クスノキの天然記念樹木や御神木なども多いように,基本的に強健な樹木なんですね^^;


(海清寺の大楠:推定樹齢600年以上)




強健だからどんな風に切っても再び枝葉は再生しますが、木に負担がかからない切り方と剪定適期は存在します。


強剪定の場合,3月末頃から6月頃までに行います。芽吹きの時期と梅雨の時期を考慮してのことです。




ここ最近のクスノキの剪定ビフォーアフターのご紹介です。


神戸市の禅寺にて3/30の剪定です。まだ去年の葉がほとんどです。向かって右側(西の方角)と瓦屋根の上部は枝を落とし,その他の枝で樹のバランスをとります。






4/9 大阪市 高津宮様にて 2年前にかなりキツく切られたようでほとんどが1.2年の枝で構成されていました。登ってみると,どう切って欲しいか木が教えてくれます。(剪定しているのは投稿者ではありませんが。)






木漏れ日というのは人類にとって恵みそのものですが,極端に遮られると,それは不健康になります。


今回の切り口から5/10の時点で新芽が芽吹き始めました。これから夏に向けて心地良い木漏れ日を作ってくれるでしょう。


4/27 西宮市にて 新芽と昨年の葉が半々といったところです。 




3つの事例をご紹介させていただきましたが,どれもシンボリックな存在ですよね。そこが一番の魅力かなと思います。



その土地の住環境に合わせて施主様や近隣の方の声を聞き,最適解を施します。お困りのクスノキなどありましたら是非お声掛け下さい。



スギ,ヒノキ,マキ,クスノキ,ウバメガシなど昔から庭木として愛されてきた樹は今でも新しさを覚えます。なぜなら生活の資源や頑丈な遮蔽施設としてなどさまざまな機能を持っていて,人類にとって欠かせない宝の木と言えるほど有用な樹木だからです。

特にスギなどは最高の樹木です。また今度私の杉に対する想いを書き綴ります^^;


しかし成長力が大きく現代の分譲住宅規模や都市環境では手に負えない状態になってしまっているのが現状です。


そんな手に負えない樹木に価値を見出し,共に暮らせる環境を創り出すのが季節の詩の仕事です。どんな樹でもお任せください。

最後に。。




地球における大気と大地が接する表皮のような薄い圏域を生物圏と言いますが,これは標高によってさまざまな変化があります。私たち日本人の大半は今も昔も、標高約800m以下の照葉樹林帯で生活しています。鎮守の森と呼ばれる空間に照葉樹が多いことからも私たちの生活と密接にかかわってきたことが伺えます。


写真は越木岩神社のヒメユズリハの森です。どこか懐かしさと安心感を覚えるのはなぜでしょうか。


日本人の信仰と暮らしの歴史を振り返るといつも照葉樹がありますが,そこには畏敬の念も持ちながら適度に手を加え樹と共に暮らしていた先人たちの姿が想像出来ます。




今回のテーマは照葉樹でしたが,さまざまな視点で今後も樹と暮らす古今東西を発信していきます。(投稿頻度低めですが何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m インスタグラムでの発信もしてますのでそちらも[kisetsuno_uta])


今を生きる私たちは,庭仕事を通じてこれからも「自然と共生できる暮らし」を研究し続けていきます。



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