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石坂 暢琢

樹藝という伝統技術

こんにちは。梅雨の時期も後半に差し掛かりました。☂

今年の梅雨は良い雨ですねー。私は生命の源である水の恵みを感じるこの季節が大好きです。雨上がりの木々も美しく感じますし。

昨年末から造園工事続きでしたが、6月以降は庭園管理作業に移行しつつあります。

今日は5月から6月の時期限定の剪定のお話です。

庭の中でも時期が決まって剪定を行う樹木があります。例えばクロマツやアカマツでは5月~6月頃に「みどり摘み」という、成長を抑制しつつ理想とするカタチに健全に育てる方法でマツ独特の維持管理をしています。

なぜ我々の祖先は自然を飼いならした景色を維持することで極相を作り出し、その景色を好んだのか、その問いに、一人の 庭師 として、園芸人 として、また 日本人 として思考を巡らせる毎日を過ごしているわけですが、

おそらく先人達は狭い国土で皆、それぞれの地域や環境で目の前の自然の脅威と上手に向き合うため様々なことを試行錯誤したと思います。そんな生死を左右する状況で生まれたのが樹木を管理する「樹藝」という技術、学問でありその技術を応用したのが庭師という職能を持った植木屋だと私は解釈しています。

盆栽文化を見てわかるように、多くの人は写真のような松に「立派な松だねぇ」と心を寄せます。

盆栽文化も樹藝の成せる技です。

例えば、狩野探幽の四季松図屏風や 長谷川等伯の松林図屏風の絵で表現される松の景色は、去年生えてきたような若い松ではなく、何10年何100年と雨風に打たれその地に存在してきたという歴史が瞬時に理解できるような、苦しい環境を乗り越えてきた先に見える自然の厳しさがそこには描かれています。私もその姿に感動するひとりです。

私たちも、1年に2回ある松の手入れで思い描くイメージはそういった水墨画や襖絵の松をイメージし、幹のうねる線や枝先の葉の尖った線を生きたまま表現しています。

植木屋は、ただ木を切っている仕事ではありません。切り方ひとつで景観的な価値を大きく左右するため、確かな伝統技術から1本1本切除の時期を見極めたり剪定の強弱を判断し、木を剪定しているのです。

そこに、施主様の要望が加わり私たちは最適解を導き出します。

言葉では言い表せても、まだまだ庭師として半人前にもなれていない私ですが、一度きりのチャンスでも自分の技術にできるよう、日々の現場での学びを大切に毎日を過ごしていきたいです。

話がうまくまとまっていないのですが、最後にわかりやすいビフォーアフターの写真をご紹介させていただきます。

剪定前

みどり摘み中

剪定後

次回も松が美しい空間のご紹介です。お楽しみに。

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